小津安二郎「お茶漬の味」

この冬、小津2作目、1952年作品。

木暮実千代である、テレビの悪女役とい

うイメージだったがこれは適役、見事。

夫は佐分利信、若い佐分利信ははじめて

見た。冷徹な渋い男というイメージだっ

たが純朴な懐の深いいい男、当時こんな

ものわかりのいい男がいるかと疑うほど

いい男だった。

鶴田浩二も若い、渋くないぴかぴかの二

枚目俳優だった。往年の有名俳優の若き

頃を見てるだけでおもしろかった。

最後に夫婦で台所へ入ってお茶漬の準備

をするのだが、なんと大きな電気冷蔵庫

がある、驚く、1952年に大型電気冷蔵庫

だぞ。我が家ではきっと幼稚園の頃にや

っと下に氷を入れる小さな四角い冷蔵庫

だったのに。しかも中に30cmくらいの

でかいハムがあるのだ、驚く。

まあ本筋とは関係ないのだが、温泉旅行

もパチンコも競輪もウルグアイへの海外

出張も、どれもこれも新鮮、驚きだった。

すれ違っていた夫婦がお茶漬を通してよ

うやく相手のことを理解するという他愛

もない結末なのだが、やっぱり木暮実千

代だから活きた結末だった。

まだテレビがない時代の映画館で観るホ

ームドラマだったんだろう。