1971年イタリアフランス合作映画。
1978年頃から日本でのヴィスコンティブ
ームがあり(「家族の肖像」らしい)、
その頃「イノセント」の試写会へ行った
ら淀川長治の講演があり、ヴィスコンテ
ィ絶賛を聞いて、他のも見ようとどこか
か忘れたがこの「ベニスに死す」を見た
のだった、20代。なんだか意味わからず
の映画だった、滅びの美学もわからなか
った。
52才のときに再見。この美少年趣味は理
解できなかったが、老いの哀しみはとて
もよくわかった(つもり)、ちょっと感
動した記憶あり。
そして今回60代、再々見。こんどはこの
哀しみ、滅びるもの、無垢なものへの憧
憬がわたしの中へ入ってこなかった。わ
が身のほうが老いのリアリティをあり、
このフィクションの世界を受け入れるこ
とはなかった。
不思議なものだ、見た年令、時代によっ
て感想が変わるということ。
そういえば前回見たときに、マーラーを
聴きはじめようと思ったのに、いまだじ
っくり聴いたことがありません。