宮下規久朗「聖母の美術全史」

ちくま新書の2冊分くらいある大作「聖母

の美術全史」。副題にー信仰を育んだイメ

ジーとあるように、聖母マリアのキリス

ト教における位置付けから、信仰対象とし

ての聖母から美術としての聖母まですべて

を網羅したような記述で最後まで興味深く

読んだ。

聖母、聖母子のパターンもいくつもあり、

なるほどと納得し、また南米、東洋、そし

て日本の潜伏クリシタン、かくれキリシタ

ンまで幅広く、さらに現代美術にまで、し

らないことばかりでほんとに面白く読んだ。

ペストと聖母の項では、守護の聖母として

さらに強い信仰となったことなど、形を変

えながら愛され続ける理由がよく理解もで

きた。

図版が小さくモノクロなのは、この厚さ

1250円の安価なのだから仕方なく、カラー

で大きな図版を望めば3倍くらいになるだ

ろう、ここは新書版で手に取りやすかった。