の「沈黙」を読んだのは大学生のときだっ
たと記憶するが、宗教、キリスト教への関
心もなくただ死よりも宗教のが大事という
信仰にはついていけず「踏めばいい」とい
う言葉に強く共感したのだが、それでも映
画にも小説にも強い衝撃を受けたことは忘
れない。
それを現代にスコセッシ監督が映画化した
のでこちらもようやく見た。あまり覚えて
いないが篠田の方はキチジローの弱さが強
調されていたような記憶だが、スコセッシ
は日本風土でのキリスト教布教、棄教司祭
に重点が置かれ、また棄教後の心の内面に
おける信仰について語られる。
信仰が持つ大きさに理解が及ばない我が身
としては、宗教が持つ負の面、怖さという
ものを考えてしまうが、当時の日本もイノ
ウエ奉行もその怖さを感じ取っていただろ
う。一方で外面が大事、世間が大事という
日本らしさは形だけ踏めばいいのだと云っ
てしまうところに表われる。
宗教はむつかしい。