つづけて辻原登。犯罪小説なのだが衝撃だ
った「冬の旅」とはちと違う。冬の旅はひ
とりの男が堕ちていく話なのだが、こちら
は加害者が服役後被害者にさらに復讐する
話で救いがない。被害者の女とそれに関係
する探偵女性が向きあって解決防止に動く
のだがやっぱり救いはない。
実在した事件を題材にしたフィクションの
ようだが社会風俗を巧みに取り入れて変わ
らずうまい、読ませる。
山中貞雄の失った映画作品の発掘を挿み込
んでこちらも興味はある。といっても人情
紙風船も見たことがないのだが。