はじめて短編集を読んだ。5編。人生には
どんなかたちであれ不意撃ちを受ける。
ひとつめの「渡鹿野」は畳みかけるような
展開、そして不意撃ち。一番好きなのはや
はり最後の「月も隈なきは」。定年退職し
た男、中流で生活に不自由はしていない、
模範的なリタイヤ生活をしているのだが、
ひとり暮らしをしてみたいと決行する。そ
してつかんだ自由さがなんとも不自由だと
感じる、どこにでも不意撃ちはやってくる。
いやうまく書けないが、リタイヤ後の自由
さが持つなんともいえないものをうまく表
現してあり、ただにんまりした。