辻原登「不意撃ち」

はじめて短編集を読んだ。5編。人生には

どんなかたちであれ不意撃ちを受ける。

ひとつめの「渡鹿野」は畳みかけるような

展開、そして不意撃ち。一番好きなのはや

はり最後の「月も隈なきは」。定年退職し

た男、中流で生活に不自由はしていない、

模範的なリタイヤ生活をしているのだが、

ひとり暮らしをしてみたいと決行する。そ

してつかんだ自由さがなんとも不自由だと

感じる、どこにでも不意撃ちはやってくる。

いやうまく書けないが、リタイヤ後の自由

さが持つなんともいえないものをうまく表

現してあり、ただにんまりした。

不意撃ち

不意撃ち

  • 作者:登, 辻原
  • 発売日: 2018/11/07
  • メディア: 単行本