パオロ・コニェッティ「帰れない山」

新潮クレスト・ブックスは松家仁之が仕掛

けた上質な翻訳小説のシリーズで、でも一

冊も読んでなかったが、誰れだったかいち

おししていたので読んでみた。

なるほどなあ、山岳の自然の風景、暮らし

が丁寧で、なにもないけど美しい。二人の

少年が自然を介して強い友情で結ばれ、さ

らに片方の父親が二人に強く関係していく。

とくに事件が起こるわけでもない、でもど

んどん読み進める、とくに大自然の生活に

憧れがあるわけではないのに、その生活は

輝いている。

父親が「未来とは上流・下流のどちらだろ

うね」と尋ねる、普通は下流だと思うのだ

が、少年は未来は上流だと気づく。

そうか上流なんだ、そうか上流に決まって

るじゃないか。

堪能した。

帰れない山 (新潮クレスト・ブックス)

帰れない山 (新潮クレスト・ブックス)