松方コレクションについてはずっと関心が
あった。その松方幸次郎とはなにものか、
なぜ絵画に興味を持ち日本に美術館を作ろ
うとしたか、なぜコレクションは没収され
たか、なぜコレクションの多くが返還され
たか、だれが働きかけたか、等の疑問に答
えるべくこの本を読んだ。
いやよくわからなかった。松方も偉大な実
業家で高邁な夢が紹介されるのみで、倒産
に至る苦労話や清濁併せ持ったはずの人物
像が描かれていないように思える。
もったいない、国立西洋美術館の常設はす
ばらしい、それも松方コレクションがあっ
たゆえに成り立っているのだ。もっと確か
な物語が読みたい。これも面白く読んだん
だけどね。