山本義隆「近代日本一五〇年」

維新後の明治からの富国強兵の流れが整理

されており、それが敗戦まで行き着くこと

を示している。知っていることも多かった

が、米との不平等条約のように朝鮮には不

平等条約を締結したことや、支配地でのイ

ンフラの役割等そりゃあそうだねと納得す

ることも多かった。福沢諭吉や当時の知識

人の言動は今のものさしでは計れないもの

でありその時代ではどんなに聡明な人でも

そういうふうに考えるのだなと理解する。

いまのわたしが考えることもいずれなにを

云ってたのかと思うこともあるのだろう。

科学者、技術者が戦中に行ってきたことが

およそ不問にされ戦後の復興に動かされて

いくのはなるほどと思わせた。

歴史を振り返るのにはいくつもの視点が必

要であり、孤高の山本義隆なのでこういう

視点であると同時に、並行して別の視点が

あること、たとえば坂の上の雲であり、あ

るいは戦後の経済成長の評価であり、ひと

つに収斂されないことが大事だと思う。