青年団「冒険王」

平田オリザ (文藝別冊)
伊丹市アイホールというところで、平田オ
リザ作・演出、青年団の「冒険王」という
芝居を観てきた。
平田オリザ作品はDVDで「その河を越え
て五月」という芝居を見ているのだが、彼
の主宰する青年団の芝居を観るのははじめ
て。静かな演劇とか現代口語演劇とかいわ
れる、起承転結や劇的な展開がなく自然体
に流れていく。セリフが同時に話されたり、
後ろ向きに話したりと、まあ日常では当た
り前のことが舞台上で話されると確かに新
しい。
放浪の旅に出ている若者たちがイスタンブ
ールの安宿で倦怠しているただそれだけの
話、でもそこに寂しさ(@金子光晴)や哀
しさ、そしてかすかな希望に静かな、たし
かに静かな感情の揺れをもたらしてくれた。
じわあといい芝居だった。