宮部みゆき「小暮写真館」

小暮写眞館 (書き下ろし100冊)
模倣犯であれ楽園であれ、とにかく話が悲
惨で人間の陰湿で弱いところをさらけだす
文章は見事な限り、それでも読むことがで
きたのは作者の天性の陽性と、その結果文
章にいつも光明が差し物語を照らしていた
からだろう。
それでも作者はしばらくこういう話は書き
たくはないと思ったとしてもそうだろうと
思う。だからファンタジーに行き、ミステ
リーではこういうものになったのだろう。
登場人物の造形がうまい、話すセリフが絶
妙うまい、ちょっと変わった話だけど気持
ちよく読めてしまった。