池澤夏樹「カデナ」

カデナ (新潮文庫)
10年近く沖縄に住んでいたことがある池澤夏樹が、
1968年を舞台にベトナム戦争を書くというのだ
が、書かれたのはキュートな物語。
べ平蓮を思わせる活動にコミットする人たちの話で
あり、なんとなく知っている事件ではあるが、現代
の若者はこれをどう読むだろうか、受け入れられな
いのではないか。
先生が組織論を語るところが読みどころで、連合赤
軍に至る必然が語られ、そうなんだ、運動が組織化
されることの当時の漠然とした違和感を思い出した。
といっても、この物語はそんなこと関係なく楽しく
読めるし、池澤はやっぱりうまい。