国立文楽劇場「曽根崎心中」

曾根崎心中・冥途の飛脚 他五篇 (岩波文庫)
文楽を観るのは3回目、夏はレイトショーで18時半から始まると
いうので、昨日の夜に観てきた。
曽根崎心中は、ゆかりの梅田のお初天神へ行ったことがあり、また、
かつて映画で宇崎竜堂と梶芽衣子のを観たことがあるが、まあ話は
いたって簡単。男のふがいなさがここでも露わに。吉田蓑助のお初
はさすが。
さて、当日急きょ、文楽との因縁の大阪市長が視察に、ざわめく観
客に一声挨拶、政治家だ。(文楽ファンの女性観客達が喜んで喝采
するのはなぜか)後で演出が足りないとコメントしていたが、中身
内容や演出に素人いや出資者が口出すのはおこがましいと思うが、
それ以外のところで確かにあれと思うこともある。例えば、始まる
前に黒子が出てきて前説する、ちょっと気持ちを高揚させることが
あってもいいと思う。(演劇ではよくあること)
また、最後に心中の場面で幕が降りると、さっと観客が立って帰り
仕度するはなぜか、余韻にひたる時間をなぜ取らせないのか、カー
テンコールがないのはなぜか、小沢征爾だって森光子だってやるん
だから人間国宝がセンターに立ち幕を開けるだけではないか、観客
は喜ぶと思うな。
そもそもなぜ観客席が暗くならないのか、幕間の場転のときになぜ
数分もそのまま観客を待たせるのか、解説イヤホンガイドはなぜ美
術館のように若い人をも対象にしていないのか。
伝統の形式、しきたり、内容を変更することなく、やれることはあ
ると思うんだけどね。