池澤夏樹「楽しい終末」

楽しい終末 (文春文庫)
いくら池澤読破計画のひとつとはいえ、なんだか
夏バテで調子も悪い時に、こんな気分が落ち込む
ような評論というかエッセイを読まなくちゃいけ
ないんだと後悔しながら無理矢理読んだ。
30数年前にも終末感がブームのようになったこ
とがあって、その時に結構はまってしまって抜け
出すのに苦労したことを思い出す。
ということで走り読みの感じもあったが、ときど
き暗い未来を批評するだけでなく、冷静で現実的
な思考も見られ、そのバランスのよさにハッとさ
せられた。そうなんだ、なにもできないけど、欲
望を無自覚に拡大せずに暮らすということからな
んだろうなあ。