国立文楽劇場「心中天網島」

心中天網島 [DVD]
大阪に引越して9年、ようやく大阪の伝統芸能である
文楽を観に行った。東京の人からはうらやましがられ
ている国立文楽劇場である。ところが土曜の初日とい
うのに客は7割程度。どうした大阪文化。
さて観たのは近松門左衛門心中天網島。大学の時だ
ったろうか篠田正浩監督の映画で観た事はあったが、
記憶はほとんどない。すこしストーリをかじってはじ
めて文楽を観る。いくらかは知識はあったが、人形と
浄瑠璃と三味線のコラボ芸能なんだとあらためて納得
する。正面の舞台は人形と人形遣い、有名になると?
黒子でなくなる。右手に浄瑠璃義太夫太夫?、そ
して三味線。この太夫が一幕をすべて、語りからト書
きから登場人物の声をひとりで謡う。男も女も年寄り
も声色で演じ分けて謡うのである。これはすごい。し
かもマイクなしである。人間国宝竹本住大夫もさる
ことながら最初に出た竹本文字久大夫が声に艶も張り
もあってよかった。舞台の上部にこの謡っている言葉
がすべて字幕スーパーで映されておりこれはわかりや
すい。今回は初めてなので音声ガイドを借りたがこれ
もくどくない的確な説明でよかった。でも太夫の声を
聞き、字幕も観て、人形も見て、人形遣いも観て、音
声ガイドも見て、おまけに持参した双眼鏡で人形をア
ップで見て忙しい。
ストーリーは単純、でも表現は細やか。スピードは遅
くてすこし退屈するし、昼食後はうとうとしてしまっ
たが、十分楽しめた。思いのほかよかったとでもいお
うか。まあ通いつめることにはならないが、次は曽根
崎心中なら観に行きたい。ちなみに2等席最後列で、
2300円、11時から14時50分まで(長すぎる)
正味3時間強、これは安い。