暮しの手帖27号

世界は「使われなかった人生」であふれてる
リニュアル2号目を購入しようと、本屋で手にとって、いつもの
ように沢木耕太郎の映画時評はどんな作品かなとまずそのページ
を開くと、その最後に、思わぬことが書いてあった。
彼がこの連載を始めるにあたっては、編集部より三顧の礼がつくされて、
(その経緯は「世界は「使われなかった人生」であふれてる」に詳しい)
ところが編集部の方針変更で連載が打ち切りになったと書いてあるではないか。
普通の連載終了であれば、彼もこんな一文はきっと書かなかったのではないか、
なんとなく彼のわだかまりゆえにこの一文があるようにみえる。
とにかく彼は、暮しの手帖が閉刊になるか、自分が執筆できなくなるまで
この誌面で読んでもらいたいと思っていたのだと書いている。
彼のわがままかもしれないが、この表明は凄いことだ。
沢木耕太郎松浦弥太郎の間に何があったか知らないが、
私はかなり落胆して、暮しの手帖第27号最新号を買わずに本屋を出た。
そのせいか、風邪熱でもう1週間も喘いだままだ。