堀江敏幸「いつか王子駅で」

いつか王子駅で
名品と噂には聞いていたがようやく手に取る。
うーん、こういう話か。ストーリーではない。
全体を通して静謐、淡白な日常のひとつひとつが光を放つ。
心の「のりしろ」、余白を取ってそこに糊をきちんと塗らなければ形が整わない、
最後には隠れてしまう部分に対する敬意を備えておくこと。
話の終わりごろに、すこし作者は自分をさらけ出す。