鑑賞

こまつ座公演「てんぷくトリオのコント」

テレビでこんな芝居を放送するのを見つ けたので録画して見た。てんぷくトリオ のコントを井上ひさしが書いていたのを 知っていたし、井上ひさしのてんぷくト リオコント集の本が出ていたことも知っ ていた。けれど、それを演劇に仕立てて 上演(2014年)し…

映画「セントラル・ステーション」再見

テレビで放映していたので録画して再見。 1998年ブラジル・フランス映画。 20年近く前に見たのだろうか、わりと覚 えている、主演のフェルナンダ・モンテ ネグロという女優がやっぱりすごい、ず るくていかげんで貧しい代書屋を普通の ように演ずる、最後ま…

映画「ガーンジー島の読書会の秘密」

2018年英仏映画。ガーンジー島はどこだ ろう、調べてみるとイギリス国王直轄地と いいながらイギリスよりもフランスに近い シェルブールの傍の島であった。だからイ ギリスなのにナチスドイツに占領された島 なのだった。そこで秘密の読書会がありさ らに秘…

小津安二郎「お茶漬の味」

この冬、小津2作目、1952年作品。 木暮実千代である、テレビの悪女役とい うイメージだったがこれは適役、見事。 夫は佐分利信、若い佐分利信ははじめて 見た。冷徹な渋い男というイメージだっ たが純朴な懐の深いいい男、当時こんな ものわかりのいい男がい…

賈樟柯「長江哀歌」

中国映画はほとんど見ていない、ジャ・ ジャンクー(賈樟柯)監督といってもま ったく知らない、新しい世代の監督なん だそうだ。 長江にできる三峡ダムのために都市や村 が沈み110万人の住民の強制移住があり、 その人たちの哀しみを描く。 日本でも同じよ…

筒井真理子「淵に立つ」

第三舞台の筒井真理子が賞をいくつも取 った、カンヌでもなにかの賞を取った。 見たいと思っていたがようやく見た。 先入観なく、よくある不倫の話かと思っ たところ、画面替わりは大胆、衝撃的に 展開する、この全編を通して不穏の塊、 驚く。 潔癖症、プロ…

グレン・フォード「去り行く男」

1956年アメリカ映画。 これはなかなかよくできた脚本の映画だ。 嫉妬した言葉のあやで予想外の展開にな る。これでどうなるのかとはらはらした ところで結末はあっけなかったけど、そ こは少し残念。 アーネスト・ボーグナインはいいなあ。 若きロッド・スタ…

小津安二郎「秋刀魚の味」

小津の映画は「東京物語」「お早よう」 「晩春」の三作しか見ていない。黒澤全 作品を見たのに比べればいままであまり 関心がなかった。小津調のロー・ポジシ ョンとかホームドラマであることとのみ であった。さて、年末あたりに小津特集 で6,7本の映画…

映画「帰ってきたヒトラー」

2015年ドイツ映画、コメディらしい。 以前に見た「お名前はアドルフ?」では アドルフという名前だけで大騒動となっ たのに、ここではヒトラーが現代に現れ てテレビが視聴率が取れると持ち上げた り、市民と議論して賛同されたりと、あ るかもしれないとい…

ベルナルド・ベルトルッチ「リトル・ブッダ」

ベルトルッチの東洋三部作というらしい 「ラストエンペラー」「シェルタリング ・スカイ」に続く作品。1993年というか らブッダ役のキアヌ・リーブスは29才、 坂本龍一は41才。ブッダというとやはり 手塚治虫のブッダを思い出すが、だから すこしだけ知って…

サミュエル・L・ジャクソン「交渉人」

1998年アメリカ映画。知ってたけど見た ことがなかった。交渉人ジャクソンと交 渉人ケヴィン・スペイシーの対決と思い きや、息詰まる交渉とはならずジャクソ ンの知恵により解決に進んでいく。誰が 黒幕かわからないので引き込まれるが、 ケヴィン・スペイ…

メグ・ライアン「ニューヨークの恋人」再見

こういうロマンチックコメディはリラッ クスしたいときには最適。タイムマシン ものだけど理屈はなし、メグ・ライアン が19世紀に行って貴族と結婚して幸せに なれるわけがないのにそれでもいいかな という映画である。ヒュー・ジャックマ ンは適役、もっと…

エマ・ワトソン「ザ・サークル」

2017年アメリカ映画。 これはどういう映画なんだろう。オーウ ェルの1984なのかと思うか、いやこれな ら希望があるというのか、結末のように トップが率先すれば成り立つのか。 1990年代のアリゾナのバイオスフィア2 実験を思い出し、いややっぱり1984だな、…

「5パーセントの奇跡ー嘘から始まる素敵な人生ー」

2017年ドイツ映画。 視力の95%を失ったスリランカ出身のド イツ青年が、一流ホテルマンになるまで の格闘をコメディタッチで描いた映画。 スリランカ人の父とドイツ人の母の息子 なのだがドイツでの移民問題がある中で ひたむきに向上心を持つ青年に打たれ、…

コリン・ファース「ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ」

2016年イギリス・アメリカ映画。 コリン・ファースが編集者、ジュード・ ロウが作家、ニコール・キッドマンが作 家の妻、新人作家を編集者が書き直しや 書き換えを指示し叱咤激励しながらベス トセラーを生み出していく。躁気味の作 家と沈着の編集者のせめ…

マット・デイモン「ラウンダーズ」

1998年アメリカ映画。ポーカーはどんな 役があるのかは知っているが、どういう 駆け引きで勝ち負けが決まるのかはわか らない、だから映画のスリリングさはわ からない。マット・デイモンは優等生か らはみ出す役どころがうまい、わかっち ゃいるけどはみ出…

ロバート・アルドリッチ「ワイルド・アパッチ」

アルドリッチ監督バート・ランカスター 主演の1972年の西部劇。ベトナム戦争を 意識した映画らしい。 若き騎兵隊将校のブルース・デイヴィソ ン(いちご白書の主役だった)がアパッ チ族との戦いを通じて殺し合うことにつ いて宗教的に考え、バート・ランカ…

「京都市京セラ美術館」コレクションルーム

大改造となった京都市美術館へようやく 行った。テレビで、入口を地下とし、奥 に日本庭園を望むように等紹介されてい たが、見事にエントランスを一新し違和 感を感じさせることなく堂々たる新しい 美術館となった。右手に古い京都市美術 館、左手に新しい…

刑事コロンボ「恋におちたコロンボ」

何度かテレビで再放送しているのでどれ がどれだかわからずもちろん見てはいな いのだが、新聞になんとフェイ・ダナウ ェイとあったので、こんな有名俳優が犯 人なのかとつい録画して見た。 「俺たちに明日はない」「ネットワーク」 のフェイ・ダナウェイ、…

「フォート・ブロックの決斗」

1959年アメリカ映画。野心のある貧しい 青年が牧場経営で成功し、支援を受けた 娼婦を離れて町の有力者の娘と結婚する が、成り上がるのにやむをえないしがら みを退け、正義と信義を守ることを選ぶ。 アメリカの良心のような映画にみえるの だが、ラストで…

デーヴ・パテール「スラムドッグ$ミリオネア」

なぜかレッドフォードの「クイズ・ショウ」 と混同していた。まったく思っていた話 と違っていた。 2008年イギリス映画、インドのスラム街 で育った青年がクイズ番組で賞金を獲得 するのだが、幼年期から経験した事柄に 関係する問題でたまたまあったため正…

ジョン・フォード「リオ・グランデの砦」

1950年「アパッチ砦」「黄色いリボン」 に続く、J・フォード騎兵隊三部作の最 終作らしい。残念ながら2作はまだ未見。 落第生の息子が父ジョン・ウェインの騎 兵隊に配属され、静かに厳しく成長を見 守るという話なのだが、分かれて暮らす 妻(息子の母)が…

市川雷蔵「斬る」

テレビでリマスター版の市川雷蔵の映画 をやっていたので録画して見た。市川雷 蔵をまともに見たことがなかったし、原 作が柴田錬太郎というので痛快時代劇か と思い見たのだがまったく違っていた。 監督が三隅研次という時代劇では有名な 監督らしい、映像…

エミリオ・エステベス「ボビー」

2006年アメリカ映画、エミリオ・エス テベスという俳優が監督。 1968年にロバート・ケネディが暗殺され た日に、その暗殺場面に居合わせること になり巻き添えをくう人たちのその一日 を描く群像劇。学生運動があり、ベトナ ム戦争反対という世相の中で、中…

映画「蜜蜂と遠雷」

見なきゃと思っていた映画がテレビ放映 されたので録画してすぐに見た。 恩田陸の原作は読んでおり、その映画化 というので期待と心配なのだが、なかな か評価もいいようなので見たかったのだ。 さて、 天才たちの苦悩と努力をもっと深化させ てほしかった、…

シドニー・ルメット「旅立ちの時」

シドニー・ルメット作品というので録画 して見た。1988年作品。シドニー・ルメ ットは「十二人の怒れる男」に始まり、 「狼たちの午後」1975、「ネットワーク」 1976をアメリカンニューシネマとして映 画館で観て、骨太の映画を撮る監督だと 認めた記憶。で…

フランソワ・トリュフォー「大人は判ってくれない」

トリュフォーの長編第一作、1959年フラ ンス映画。ようやく見ることができた。 瑞々しいと云うんだろうな、少年のナイ ーブな心情を両親も教師も判ってくれな いではなく判ろうとしないことへの反抗、 抵抗なんだろう。トリュフォーの少年期 の自伝的映画だ…

イラン映画「友だちのうちはどこ?」

1987年イラン映画。イランの田舎の村で の少年の一日、友だちのノートを学校か ら持ってきてしまった少年が返すために 家を探しに行くそれだけの話。なんだけ ど、ちょうど日本でいえば戦後すぐくら いの様子、父も母も爺さんも抑圧的で先 生も厳しい、子供…

堤真一「地下鉄(メトロ)に乗って」

浅田次郎原作の泣かせる映画を見るつも りはなかった。だいたいこういう泣かせ るものでは泣けないへそ曲がり男である、 やっぱり泣けなかった。 愛人は何故死ぬ必要があるのか、母親が 一緒に死ぬかもしれないのに。男は死ん だ愛人への罪悪感、良心の呵責…

スペンサー・トレイシー「折れた槍」

西部劇である必要がない社会派かつ親子 ドラマ。スペンサー・トレイシーがアイ ルランドからの移民で一代で成り上がっ た牧場主を演じ、息子たちを厳しく封建 的に育てている。一方で先住民の後妻を 娶りそこでは差別とかを考えていない。 牧場に流れる川の…