鑑賞

松坂屋美術館「川瀬巴水展」

川瀬巴水の「旅と郷愁の風景展」という のを観てきた。まとまって作品を見るの ははじめて。浮世絵の伝統技術を継承し 彫師、摺師と分業協働して作品を作る新 時代の木版画「新版画」の人なので、一 方の作家性の強い「創作版画」とは異な る。しかし繊細な…

スペンサー・トレイシー「花嫁の父」

1950年アメリカ映画、ヴィンセント・ミ ネリ監督作品。花嫁の父スペンサー・ト レイシーは老人と海ほかの名優、こんな コメディをやるとは。 1950年、かたや小津映画の質素さ(東大 卒の家庭でも)、かたや成り上がった弁 護士の家庭、圧倒的な物量の豊かさ…

小津安二郎「東京物語」再見

世界ベスト4だとかベスト1だとか、な ぜこの日本的なものが世界中で評価され るのかと見直す、わたしの小津ブームで もあるし。1953年作品。 そういう話だった、役年齢は、父70才、 母67才、長男47才、長女44才、次 男(戦死)、三男27才、…

マリリン・モンロー「恋をしましょう」

1960年アメリカ映画。マリリン・モ ンローは大きな流れで作品を見ていない ので初期なのか後期なのかわからず。 これは亡くなる一年前のもの、ジョージ ・キューカー監督、お相手はイヴ・モン タン(一時恋人だったそうな)、相棒の 顧問弁護士は見たこ…

三谷幸喜「愛と哀しみのシャーロック・ホームズ」

テレビでこの芝居をやっていたので録画 して見た。柿澤勇人、佐藤二朗(苦手)、 横田栄司(わからなかったぞ)、迫田孝 也、鎌倉殿の面々である。2019年9月の 公演だから鎌倉殿より前に三谷はこれら の役者を使っていたことになる。そうな のか、横田栄司は…

小津安二郎「彼岸花」

1958年作品。小津の初カラー作品だそう だ。一応、戦後作品が15作あるのでそれ は見ておこうと思う。これは7本目。 面白い、まだテレビがなかったのでこう いうホームドラマを映画館で見たのだろ う。それをよく作り込んだ小津で見られ たのは幸せなことだ。…

小津安二郎「秋日和」

1960年作品。なんだか小津に馴染ん できた、なにか癖になるといおうか。 たわいもない話である、男三人組の昭和、 しかも高度成長目前のおっとり社会人、 妻をあしらい、あしらわれ、娘も会社の 部下女性も嫁にやることに熱意を持ち、 ああこういう雰囲…

若尾文子「女は二度生まれる」

1961年川島雄三監督作品。 まだどんな映画にもいわれるままに出演 していたのだろう、男相手の商売芸者で ありながら清潔感漂う美女の風格、声が また特徴的な。無邪気なのか計算なのか 男をとっかえ弄ぶようで純でもある、こ れは演出のせいか、若尾文…

二兎社「シングルマザーズ」

久しぶりにテレビで芝居を見た。映画と 比べて演劇はすこし集中しないといけな い。永井愛の作品、演出、沢口靖子、根 岸季衣、吉田栄作ほかの出演。 シングルマザーが抱える問題を解決しよ うとするNPO仲間の奮戦記。でも社会派 ドラマと括るよりも人間ドラ…

F・トリュフォー「柔らかい肌」

まだ見ていなかったトリュフォー作品、 1964年フランス作品。 傑作。不倫物語、まじめな男がどんどん はまっていく。wikiを読むと崇拝するヒ ッチコック調のサスペンスを意図してい ることがわかる。女は深みにはまらない、 うまくできている、なんとカ…

「コーダあいのうた」

2021年アメリカ映画、アカデミー作 品賞、助演男優賞。 2014年フランス映画「エール!」の アメリカリメイク版、動画配信サービス 映画だという。それでアカデミー賞はは じめてとのこと。 さて「エール!」は好きな映画、感動も した。そのリメイク…

クリント・イーストウッド「ブロンコ・ビリー」

1980年アメリカ映画。イーストウッドは 70年代のはじめから監督をして、この作 品は7作目のようだ。話は複雑ではない が、慰問にいくところや前科のある人を 普通に雇うとろ、ネイティブアメリカン の扱い等良きアメリカのエッセンスを盛 り込んで感心する。…

五社英雄「女殺油地獄」

1992年作品。樋口可南子、藤谷美和子、 堤真一、彼は若い、でももう顔は出来上 がっている、野田秀樹の「キル」より前 のこと。でもダメ男とは思えなかった。 さて、近松門左衛門作品、心中天網島と 曽根崎心中は心中もので映画と文楽で見 たことがあるが、…

チャールズ・チャップリン「ライムライト」再見

1952年アメリカ映画。70年代前半の リバイバル上映された時に二番館かどこ かでこれを観たかはあいまい不明、でも 素顔があの放浪道化とは別人のようで驚 いたものだ。 テレビ放映していたのでまた見たのだが、 この作品からアメリカ追放されたという 憤…

矢口史靖「アドレナリンドライブ」

1999年の映画、軽快なコメディ、ジェッ トコースター映画というのだろうか。 これはこれでいいと思います、矢口史靖 監督も「ウォーターボーイズ」「スウィ ングガールズ」2本の大ヒット作がある のでいいと思います。こういう明快明朗 な映画もあるべきだ…

若尾文子「しとやかな獣」

若尾文子2本目、1962年、川島雄三監督 作品。川島雄三は「幕末太陽傳」しか見 たことがないのでまるで知らない。 これは喜劇、悪い人たちばかりの金の駆 け引き、暴力はない、なんとも奇妙なん だけど役者たちが奇妙なので変でもない。 伊藤雄之助、山茶花究…

F・トリュフォー「日曜日が待ち遠しい!」再見

1983年フランス映画、トリュフォーの遺作。 映画館へ観に行った記憶だが心もとない、 でも遺作だというのでヒットしたようにも 思う。ハリウッドならそれはないだろと思 うところもフランス映画ならそれもエスプ リというかおしゃれな展開と思わせてしま う…

小津安二郎「浮草」

ひさしぶりの小津安二郎、どれにしよう か「浮草」を。いつもと少し違う、旅役 者の話、京マチ子がここにいるのはおか しい、といって持ち上げられているわけ ではない、座長の鴈治郎に惚れている。 だから豪雨の中の軒先の罵倒シーンが緊 張感あり、いい。 …

マイケル・ダグラス「ザ・センチネル/陰謀の星条旗」

2006年アメリカ映画。大統領暗殺計 画から守るシークレット・サービスの映 画はいくつもあって、でも大統領夫人と 不倫をしているSSははじめて見た。こ んな設定の映画が許されるアメリカはす ごいなといつものように思う。 といって話はかなりのご都…

ラッセ・ハルストレム「セイフヘイブン」

2013年アメリカ映画。ギルバート・ グレイプ、ショコラ等の映画を撮る監督 だったのでテレビで放映していたのを見 る。うーん、いい映画なんだけど脚本が 狙いすぎか、最初がまったくのミスリー ドで、DVから逃れただけなのに殺人が 絡んでるかのように…

国立西洋美術館常設展

常設展が好きである、いつ行っても同じ ものが展示してある安心感がある。東京 では、国立西洋美術館、国立近代美術館、 旧ブリヂストン美術館である。 近代美術館では明治以降の洋画の格闘を 観るのが好きである、ブリヂストンはこ じんまりと名品が観られ…

バスケットのこと

NBAのプレーオフを見ていた。レイカー ズはレブロンと八村から応援していたが 残念ながら負けて今季終了した。レブロ ンはピークを過ぎての奮闘で熱かったし、 八村はそれなりに活躍したけどここ一番 の存在感はまだまだだった。それでも白 熱したいい試合だ…

藤田敏八「リボルバー」

1988年、藤田敏八監督の遺作のよう だ。藤田敏八作品は1970年代に同時進行 でいろいろ観た、おもしろかったりつま らなかったりでただ同時代を感じる映画 だったということか。役者としても存在 感があってユニークだった。 これはバブルの頃の浮かれた…

山田洋次「キネマの神様」

ダメ男の系譜というのがあるのだそうだ。 浮雲の森雅之、夫婦善哉の森繁久彌、こ れらがわたしには理解できない、いや男 はそういう人がいることはわかる、わか らないのはそれに惚れる女である。 で、これもそういう話である、宮本信子 である。娘の寺島し…

トム・クルーズ「ワルキューレ」

2008年アメリカ・ドイツ映画。 ヒトラー暗殺計画があったことは知って いたが何十もあったことは知らなかった。 これはいちばん大掛かりな計画のようで、 その全貌の映画化、ドイツ軍隊の中にも 反ナチの勢力がいたことも知らなかった。 クーデターは失敗し…

ジュディ・デンチ「あなたを抱きしめる日まで」

ジュディ・デンチの映画をテレビで放映 されるというので録画して見た。 2013年イギリス映画。 事実に基づいたノンフィクションを原作 とする物語。強制的に別れた息子を50 年振りに探す母親とその記事を書こうと するジャーナリストが真実に迫ってい…

シャーリーズ・セロン「ミニミニ大作戦」

2003年アメリカ映画。1969年の同名映画 はとても痛快で面白かった記憶あり、よ ってリメイクしたこれはどうかなと思っ たけど、まあまあ楽しめました。 ミニ・クーパーもローバー・ミニもわか らないけど、カーアクションは豪快でし た。なんと敵役はエドワ…

ルネ・クレマン「パリは燃えているか」

1966年アメリカ・フランス映画。 昔見た記憶はあるんだけど実質は初見。 フランスのいわゆるレジスタンスにより ナチスからパリ解放を果たす映画なのだ が、レジスタンスは各派に分かれ、また 自由フランス軍というのもあって、わか りにくい話だった。結局…

リチャード・ギア「真実の行方」

1996年アメリカ映画。リチャード・ ギアではなくほんとはエドワード・ノー トンの映画なんだろう。「バードマン」 でも評価されているが覚えていない、も ういちど見なくては。 法廷ものはスリリングで面白い、これも 例外ではない。面白かった、リチャ…

「コッホ先生と僕らの革命」

2011年ドイツ映画。テレビはときどき変 わった映画を放映する。19世紀の後半に ドイツではじめてサッカーを学校に導入 した教師と生徒、周りの大人たちの物語。 ビスマルクのドイツ帝政期で欧州の中で 国力をつけ列強となった強硬な自信を持 った頃、イギリ…