鑑賞

ウォン・カーウァイ「花様年華」

2000年香港映画。 トニー・レオン(恋する惑星)とマギー ・チャン(宋家の三姉妹)のプラトニッ クな恋愛(不倫といっていいのか)、そ の緊張感をわかりにくい時間軸でスタイ リッシュな映像で描く。 なんだかよくわからないけど惹き込まれ ていく、切…

小津安二郎「東京暮色」

1957年、最後の白黒作品だそうだ。 小津らしいちょっとしたユーモアがない 暗い映画なのだが、とくに違和感はない、 人生には希望も諦念もいつもあるわけで はないのだから。普通の奥さん役を演じ ている山田五十鈴をはじめて見た、黒澤 の蜘蛛巣城や用…

はるひ美術館「谷川俊太郎絵本百貨展」

ようやく観に行ってきました。図録だけ 先に図書館で借りて読んでいたので、そ のなかの一部の絵本を取り上げ、原画や 映像、本人の朗読等で紹介する展覧会だ った。 ただの詩人ではない、ただの絵本作家で はない、まさに奇想天外な表現者である。 なんでも…

植本一子「フェルメール」

写真家の植本一子(知らなかった)が出 版社の企画で、フェルメール全作品の写 真を撮りに行くという本というか写真集。 全作品を見に行くというのはもう何冊か 買って持っている、30数点の作品なので その気になればできそうに思える。 ここでの写真はフェ…

演り人知らズ「シュガー、ミルク、スプーン、カップ、コーヒー、ダーリン」

演り人知らズ の公演「シュガー、ミルク、 スプーン、カップ、コーヒー、ダーリン」 を観てきた。亀島のアトリエ混沌堂にて、 ひさしぶりに芝居というものを観た。や っぱり生はその場限りのものでありいい。 小さくてもいろんなものがいろんなとこ ろで表現…

小津安二郎「戸田家の兄妹」

ひさしぶりの小津。1941年作品。 戦後の小津作品を網羅しようと思ってい たのに戦前の作品だった。小津が徴兵か ら帰ってきて撮った映画、戦争体験はど こにもでてこない。裕福な一族において 当主が亡くなり家族がばらけていく。嫁 姑というと普通姑が…

市川崑「映画女優」

1987年作品。市川崑は当たりはずれの振 れ幅が大きいけど「股旅」「細雪」は好 きでした。 これは田中絹代の映画人生と黎明期の日 本映画を重ね合わせたちょっと奇妙な作 品、田中絹代に興味があったのでそれの みでやればよかったのに。 あまり吉永小百合を…

刈谷市美術館「和田誠展」

和田誠の大回顧展。いままで和田誠の大 きな展覧会は、大阪なんばのキリンプラ ザで見たのが最初で、あとはどこで見た のだろう、作品集も何冊も持っており、 ほとんど見たことがあるものでの巡回回 顧展だろうと思っていたが、いやいや知 らないものも沢山…

「あまちゃん」

再放送を全部見た。2013年の放送当時は 59才、仕事をしていたので断片的に見て いただけだが俳優陣が豪華でしかもクド カンのコメディというので時々見てても 面白かった。で、再放送?再々放送が始 まってじっくり見た。 そうだったか、夏、春子、アキの三…

宮崎駿「君たちはどう生きるか」

ようやく観ました、やっと観に行きました。 柱は2つ。ひとつは母との別れ、決別、 独り立ち。もうひとつは冥界で安寧に生 きるのでなく善悪の混沌した現実社会で 生きていくこと。 とくにわかりやすいものだけを望んでい るわけではない、わからないことは…

ベン・アフレック「アルゴ」

2012年アメリカ映画。ちょっと誤解 していた、失敗した在イランアメリカ大 使館人質救出作戦の話だと思っていた、 あの時のカーターのやつれきった顔を覚 えている。ところが大使館で人質になっ ていた数十人とは別に、よそで隠れてい た大使館員がいて…

市川準「つぐみ」再見

1990年作品。あの頃「キッチン」は読んだ けど「TUGUMI」は読んだかどうか覚えて いない、装丁が山本容子で美しくおしゃ れで評判になって、読む気がなくなった のかもしれぬ。映画化で中島朋子にオフ ァーがあったのに、つぐみ役じゃなかっ たので悔しかっ…

ジョン・ウェイン「リオ・ロボ」

1970年アメリカ映画、わりと新しい。 ハワード・ホークス3部作らしい、「リ オ・ブラボー」「エル・ドラド」そして 「リオ・ロボ」 ギターを弾くアップからはじまり、「第 三の男」へのオマージュかと思いきや、 普通の西部劇、いや南北戦争の終りの南 …

伊丹十三「タンポポ」再見

1984年監督デビューした「お葬式」 を、期待して映画館へ観に行った。ちょ うど和田誠もデビューしマスコミは両者 を盛り上げていた。 伊丹十三は翌1985年早速2作目。 記憶ではかなり好きな作品であったが、 再見して意外に好感がなかった。どうも …

ダルトン・トランボ「ローマの休日」いまさら

赤狩りのダルトン・トランボが偽名で脚 本を書いたローマの休日をその視点で見 た、何回目だろう。巨匠ウィリアム・ワ イラーは抵抗した監督だったし、グレゴ リー・ペックはリベラルだったし、そう いう映画だった。 ヘップバーンは自由に発言できない不自 …

京博「常設展」

京都国立博物館の常設展の特集展示「日 中書の名品」を見た。 書の良さはわからないが、日本書紀巻 (岩崎本)という日本書紀の写しという のをはじめて見た、ほんとに日本書紀は あるんだ、国宝。 真草千字文(楷書と草書が並んで書かれ ていて比較して勉強…

映画「青いパパイヤの香り」

1993年フランス・ベトナム映画。 フランス育ちのベトナム人監督作品らし い。1951年のサイゴン、歴史はうと いのだけど、ベトナム戦争前のベトナム がフランスと戦っていたころだろうか。 でもそういう気配は前面になく、サイゴ ンの湿気たっぷりの…

映画「30年後の同窓会」

2017年アメリカ映画。 ジャック・ニコルソンの「さらば冬のか もめ」(1973年)の繋がってない続編の ようなものらしいというので見る。 「さらば冬のかもめ」はいい映画だった からなあ。 さて、ベトナム戦争の従軍仲間3人が久 しぶりに会い、その1人…

フランシス・F・コッポラ「ゴッドファーザーPARTⅢ」再見

1991年アメリカ映画。いまは、ゴッドフ ァーザー〈最終章〉というのですね。 なんという記憶力のなさ、すべてが忘却 の彼方。1から3までみたけれど、覚え ていたのは骨格のみ、マーロン・ブラン ドがいて、2代目アル・パチーノがいて、 マーロン・ブランド…

フランシス・F・コッポラ「ゴッドファーザーPART II」再見

1974年アメリカ映画。 PART IIというと普通は二番煎じ的なもの になってしまうが、これはPARTⅠを超え る評価を得てアカデミー賞作品賞連続受 賞、でもやっぱり見に行かなかった。 テレビかレンタルビデオで見たのだろう。 さて何十年振りにPARTⅠに続けて…

フランシス・F・コッポラ「ゴッドファーザー」再見

1972年アメリカ映画。当時はマフィ アの映画なので興味がなかった。でもこ の1と次の2が評価があまりに高くて、 テレビで見たのだろう。 さらに3が出た以降もういちど見たよう に思う。ということで3回目か。 うーん、詳細はまったく覚えていない、 …

ロマン・ポランスキー「ゴーストライター」

2010年仏独英映画。ポランスキーも 性的虐待等なければもっと偉大な監督に なったのに、チャイナタウン、テス、戦 場のピアニスト、傑作ぞろい。 ユアン・マクレガーの甘い優柔不断な感 じが活かされている、お気楽に見始めた がなかなかサスペンスが効…

スタンリー・キューブリック「スパルタカス」

1960年アメリカ映画。 スタンリー・キューブリック監督作品な ので見なくては。初期の作品なので完璧 主義だとか映像美とかは見当たらない、 彼の作品だとはわからない。wikiをみる と製作総指揮のカーク・ダグラス主導の 映画だったようだ。 共和制ロー…

沢木耕太郎「深夜特急」全3冊再読

1月に「天路の旅人」を読んであまり心 が踊らなかった、そういえば「深夜特急」 でカトマンズやあの周辺へも行っていた のだったかなと再読しようとずっと思っ ていた。 「深夜特急」1,2巻が出たのは1986年、 発売日すぐに読みはじめ、香港マカオか ら一…

ショーン・コネリー「小説家を見つけたら」

2000年アメリカ映画。ショーン・コネリ ーはやはり存在感あり。16才の少年が膨 大な本や詩を読み、そこまで才能を開花 させることができるのだろうか。隠遁し ている小説家もたった一作で世界的作家 なのもありうるのだろうか。そこが好み のポイントだろう…

興福寺国宝館と天理参考館

興福寺国宝館でやっぱり乾漆八部衆立像 に見惚れる。仏教とは異なる異教の神と いうことらしいが何度見てもその独創性 に感心する。 また、はじめて天理大学付属天理参考館 というところを見る。世界の生活文化・ 考古美術を収集しそれぞれの生活や歴史 を知…

トム・ハンクス「幸せへのまわり道」

2019年アメリカ映画、フレッド・ロ ジャースという有名なテレビ司会者をモ デルにした作品。 父子の和解、寛大に受容する物語、この 司会者はほんとにいい人だったかもしれ ない、ほんとに美談だったかもしれない。 たまたま横道世之介を読んでいてこれ…

清須市はるひ美術館「画家たちの眼展」

車で10分くらいのところのはるひ美術館 で、愛知県美術館の移動美術館という企 画展を見てきた、涼を求めて。 三岸節子、香月泰男、猪熊弦一郎、古賀 春江等見たことがない、県美で収蔵され てなかなかでてこない作品達か。香月の サッカーの絵はまったくは…

小津安二郎「麦秋」

小津映画9本目、1951年作品。 長男の妹が原節子(役では28才)、娘 の縁談と嫁入りの話なのに両親は権限が ない、後ろに引いている。家父長制で家 長を長男(笠智衆)が継いでいるのだろ う、家の決定権を持っている様子。 ここで笠智衆は兄、菅井一…

小津安二郎「晩春」

1949年作品、小津が初めて原節子と組ん だ作品。父娘の嫁に出す話、出てくる俳 優はみんな話に意味を持つ、余分なとこ ろがほとんどない。普通、父娘で亡母の 思い出話をするとか、墓参に行くとか、 父の助手との淡い恋愛とかあってもおか しくないのに、た…