辻原登「枯葉の中の青い炎」

さあ、続けて短編集、全6編である。

「ちょっと歪んだわたしのブローチ」

ミステリーのようでホラーのようで、夫

の我儘に妻が正気か狂気か堕ちていく話、

強い余韻が残る。

「水いらず」

ロッジの管理人が匂いに反応し幻覚を見

て現実が揺らいでいく。

「日付のある物語」

大阪の三菱銀行事件にありえたかもしれ

ないもうひとつの事件を絡めて虚構に満

ちた話に持っていく、不思議な話。

「ザーサイの甕」

ザーサイと金魚の蘊蓄から話はとんでも

ない方向へ進みいわゆるマジックリアリ

ズムである。

「野球王」

子供の頃の野球王との記憶と、古いエレ

ベーターの蘊蓄が繋がり、ほんとうの記

憶なのかわからないものを思い出す。

「枯葉の中の青い炎」

名投手スタルヒンの史実にパラオの酋長

アイザワ(きっと実在しない)の交流と

いうか助っ人というか奇妙な話に惹き込

まれその味わいに満足する。

それぞれ変な話なのだが、愉快というか、

愉悦というか味わい深い読後感を持った。

 

シルクスクリーン講座(6)

シルクスクリーン講座6回目。

先回、完成させた作品はこれ↓、細かい

位置調整ができていないがおおよそうま

くいったように思う。線ではなく面の色

がきれいに出るのがシルクスクリーン

と思う。もうひとつ2色刷りで作る予定、

その準備を行った。

 

アラン・J・パクラ「大統領の陰謀」再見

テレビでやっていたので録画して再見あ

るいは再々見。いまはwebで簡単に情報

が得られる。アラン・J・パクラは「アラ

バマ物語」のプロデューサーだった。

脚本はあのウィリアム・ゴールドマン

った、忘れていた。

ジェイソン・ロバーズはジェイソン・ロ

バーツと思い込んでいた。あの時映画館

で「大統領の陰謀」を観てかっこよかっ

たところ、翌年、傑作「ジュリア」のダ

シール・ハメット役はもうかっこよすぎ

て、2年続けてのアカデミー賞快挙。今

回見てこういう上司役はよくあるパター

ンにもなっていて斬新さはなかったが。

でも「ペンタゴン・ペーパーズ」に続く

ワシントン・ポストの自由、自立は大事

なものであることはわかる、記者の傲慢

さ、しつこさは鼻につくけど、それを越

えて大事なものであろう。

40数年経っても新しく今を生きている

映画である。

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ロン・ハワード「天使と悪魔」再見

前に見たときはよくわからなかったので、

今回テレビでやっていたので録画して見

た。物理学の先端の反物質をうまく使い、

日本の学会もこの映画にみるような危険

なものではないとのコメントをだしたり

話題になったようだ。

テンポはあいかわらずで、端折り方はつ

いていけず、ご都合主義的な展開もどう

かと思うが、これも現代の作風なのだろ

う、こういうのが好まれる。

コンクラーベもここまで紹介されて、バ

チカンは協力的だったそうではなかった

かわからないが、カトリックが持つ権威

と世俗性はすごいなとつくづく思う。

結論、やっぱりよくわかりませんでした。

ktoshi.hatenablog.com

 

 

 

津野海太郎「かれが最後に書いた本」

webの「考える人」で連載していた原稿

を中心としたエッセイ集。最後の本と云

っているがまだまだ大丈夫。

文章が芸になっている、面白い、80年の

人生の蓄積からの交友、経験が滲み出て

いるといえる。うらやましい限り。

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