山田洋次「男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花」

リリー三部作の3つ目、いちばん人気のある

作品といわれ、ようやく見た。48作いや今

では50作というんだろうか、もうどれをみ

ていないか曖昧になってきた。

やっぱり一緒になれない寅さんとリリーの

哀しみが喜劇のなかに一本通っていてよく

できてる、鍛えあげた脚本だなと感心する。

初期から前半までの寅さんは自己中の我儘

さに無自覚なところが好きではなかったが、

徐々に無自覚さが減ってきて「いいひと」

になってきた、それはそれでまあ歳をとっ

てきたということでしょう。

男はつらいよ・寅次郎ハイビスカスの花 [DVD]

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  • 発売日: 2017/08/30
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三浦しをん「風が強く吹いている」

箱根駅伝を舞台にした大学生のファンタジ

ースポーツ小説である。現実にはありえな

いなどと思って読んではいけない。その前

提で主人公二人の走ることの爽快感、美し

さみたいなものが伝わってくる、読んでい

て気持ちがいい。勝ち負けではない強さと

いうのか喜びみたいなものが溢れている。

あわよくば他のメンバーがどうしてやろう

と思ったか、その苦痛、苦悩がもっと表現

されてないとやっぱり物語としては弱いと

思う。映画にもアニメにもなっていたこと

はまるで知らなかった、人気作品なんだ。

なお、我が家ではなぜか作者を「しをん」

ではなく「おしん」と呼んでいる。 

風が強く吹いている (新潮文庫)

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辻原登「闇の奥」

これはむつかしかった。現実と虚構が、フ

ィクションとノンフィクションが入り混じ

り、理解できないままに物語は進んでいく。

サリンジャー笑い男(ナイン・ストーリ

ーズ)がうまく私の中で消化できず、カレ

ー中毒事件もCIAも出てきて、後半、女医

さんが活躍して、うーん、頭の中でうまく

整理できませんでした、わたしは完敗。ち

なみに三上隆は南方熊楠を想像しました。

闇の奥

闇の奥

 

 

「赤毛のアン」1985年版

わたしの中では文学少女が最初にはまる本

は「若草物語」か「赤毛のアン」かなと思

ってきた。前者は、今年の初夏にたまたま

古い映画を見て、さらに「ストーリー・オ

ブ・マイ・ライフ」を観に行って、本も読

んで納得したのだ。そして後者はたまたま

テレビ映画(1985年)のDVDを見て、な

るほどアンの想像力豊かな強い個性が魅力

的な物語なのかと納得。若草物語の次女が

勝気な個性を発揮するように、アンも勝気

で(もっといい表現があるように思えるが

すぐに思いつかない)、女の子らしくしな

さいといつも抑えつけられる女の子の憧れ

なのかと推量する。

赤毛のアン DVD-BOX

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  • 発売日: 2011/11/23
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メグ・ライアン「めぐり逢えたら」

テレビで放映されていたので懐かしく再見。

1993年というので多分1994年にレンタル

で見たのだろう。1995年にNYへ行ったと

き、エンパイアステートビルへ上り、この

映画のシーンはここだと感慨深かったと同

時に、アメリカのお上りさんが観光すると

ころなんだという感想を思い出す。

さて、このラストシーン以外はまるで覚え

ていない、これもまた忘却の映画であった、

エンディングだけは覚えているけど。トム

・ハンクスも若いなあ。

めぐり逢えたら (字幕版)

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  • 発売日: 2013/11/26
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ヨシタケシンスケ「りんごかもしれない」

ロングセラーになっているヨシタケシンス

ケの絵本、知らなかったがそういえば書店

でみたことがある、彼のイラストも絵本売

場じゃないところでもみたことがある。

その第一作が「りんごかもしれない」。

絵本にしてはかなりの盛り沢山の情報とい

うかアイデア、くすっと笑いどころ満載。

そうだ、谷川俊太郎の「りんごへの固執

を思い出した。いや、こっちはりんごを定

義するだが、この絵本はりんごからの発想

の拡がりなのだ、哲学的でもある。

感心した、笑った。ほかのも読んでみよう。

りんごかもしれない

りんごかもしれない

 

 

 

マーチン・スコセッシ「沈黙ーサイレンスー」

篠田正浩の映画「沈黙」を観て、遠藤周作

の「沈黙」を読んだのは大学生のときだっ

たと記憶するが、宗教、キリスト教への関

心もなくただ死よりも宗教のが大事という

信仰にはついていけず「踏めばいい」とい

う言葉に強く共感したのだが、それでも映

画にも小説にも強い衝撃を受けたことは忘

れない。

それを現代にスコセッシ監督が映画化した

のでこちらもようやく見た。あまり覚えて

いないが篠田の方はキチジローの弱さが強

調されていたような記憶だが、スコセッシ

は日本風土でのキリスト教布教、棄教司祭

に重点が置かれ、また棄教後の心の内面に

おける信仰について語られる。

信仰が持つ大きさに理解が及ばない我が身

としては、宗教が持つ負の面、怖さという

ものを考えてしまうが、当時の日本もイノ

ウエ奉行もその怖さを感じ取っていただろ

う。一方で外面が大事、世間が大事という

日本らしさは形だけ踏めばいいのだと云っ

てしまうところに表われる。

宗教はむつかしい。

沈黙-サイレンス- [DVD]

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  • 発売日: 2017/08/02
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