高村薫「黄金を抱いて翔べ」

 高村薫のデビュー作らしい。最初から圧倒的な

人物造形、疾走感、ディテールの細かさ。のち

直木賞を取ったときに推理、サスペンスを書

いているわけではないと云ったようだが、確か

人間を書こうとしているのがわかる。ここから

いっきにマークスの山まで行くんだな。

大阪の地名がいたるところに出てくる、ふつう

東京の地名がよくでてくる小説は多いが、大阪

の地理感の方があるのでこれは楽しかった。

黄金を抱いて翔べ (新潮文庫)

黄金を抱いて翔べ (新潮文庫)