橋本治「リア家の人々」

リア家の人々 (新潮文庫)
橋本治の戦後三部作といわれている本の三
冊目から読んでみる。桃尻娘から入って最
近では新書でものごとはこう捉えようみた
いな話を何冊か読んだが、きちんとした小
説を読むのははじめて。突き放したような
文体、空虚な官僚の心象に入っていかない、
日本の中心の空虚さを代表しているような
文章、女性がつい最近まであからさまに男
性の補助役割を担っていたことを再認識さ
せられる物語、これらすべてが日本の風景
であることを突きつけられてちょっと物語
そのものの感想が浮かんでこない。これも
心に引っかかる、しばらくなんだったんだ
と思い出す本になる。