池澤夏樹「氷山の南」

氷山の南
池澤夏樹の新作の長編小説、新聞連載だったようで、
新刊が出るのを楽しみにしていた。
設定はなかなかスケールが大きい、大柄な構成、主
人公の若者が魅力的である、すこし分別のありすぎ
てリアリティに欠けるが、そんな若者の現代の冒険
小説、いや近未来か。
わくわくして読み始める、途中までは面白い、後半
は、ある種の哲学小説のようにもなり、まあ抑えよ
うとしていることは理解するけど池澤の主張がでて
きたりして、共感しつつ、ちょっと醒める。(この
あたりのバランスがむつかしい)最後はミステリー
仕立てになってしまってこれもどうかな。
とはいうものの、物語としては第一級、のびやかで
存分に楽しんだ。毎晩寝る前にすこしづつ大事に読
んだ。堪能した。